みなさん
発熱=熱がある
と聞いて、
どんな看護援助が必要だと考えますか?





この春の実習で
看護学生である妹ちゃんは
発熱した患者さんに対して
「クーリングする」という冷罨法
看護計画で述べて大変怒られたそうです。
「なぜ今クーリングなの?」って

発熱=熱がある
→冷やすと熱が下がって楽になる

と考えていた妹ちゃんは
上記の質問に納得ができず、
「なんで?」
と悶々としていたそうです
まあそうですよね…

今日はこの
発熱時になぜクーリングしてはいけないのか?
のなぜ?について
簡単に解説していきたいと思います(*・ω・)ノ

 


1:発熱とは?
発熱(fever) とは、
なんらかの原因で体温調節中枢が障害され、
体温が正常よりも
高いレベルに維持される状態を言います

2:どうして熱が上がるのか?
体温は、
外因性発熱物質の原因である
細菌やウイルスなどが体内に入ると、
免疫機能(マクロファージ)などが反応して、
それらを排除しようと働きかけます
その際、
内因性の発熱物質が
つくられ放出されることで、
脳(視床下部)の体温調節中枢を刺激し、
熱を産み出す力が高まり、発熱することになります。
そのため、
普段は36−37℃くらいに設定されている
セットポイントという体温の基準のようなものが
38−39℃へと上昇します
































イメージでいうと、
36℃のぬるま湯がある鍋に火をつけますよね 
そうすると、お湯の温度は上がりませんか?   
この火にあたるのが、
細菌やウイルス
そして、内因性の発熱物質です。



3:熱が上がるとどうなる?
発熱には主に3つの過程があります。
下の図を見ながらお話ししますね
 

 




























発熱は
①熱が上昇していき
②高熱状態となり
③高くなった体温を下げようとする
過程にわけられます。
 

まず、①体温が上昇していくと、下の図のように、血管が収縮し、
悪寒や頭痛・関節痛などといった症状が現れます。 































そして、②高熱状態となると、
 顔面が紅潮し、倦怠感が現れ
いわゆるぐったりとしてきます  

 




























やがて、このままではいけない!
ともとの体温に戻そうとはたらき、
③汗をいっぱいかいて体温を下げようとし、 
大量の発汗とともに熱が体の外に放出され、
解熱します。



 

























これが熱が上がって、下がっていくまでの過程です。




4:なぜクーリングしてはいけないのか?
ではなぜ妹ちゃんはクーリングしようとして
指摘されたのでしょうか?
それは、クーリングしようとしたタイミングが原因
です

先ほど発熱には
①熱が上昇していき 
②高熱状態となり 
③高くなった体温を下げようとする 
という3つの過程があることをご説明しましたが、

身体を冷やす冷罨法であるクーリング
熱が下がりはじめる②の高温状態以降
特に発汗して熱を放出する③の状態で使用すると、
体温を下げようとする体の働きを助けることができ、
とても効果的に働きます。

しかし、一方で①熱が上昇していく際は
血管が収縮しているため、身体を冷やすことで
さらに血管をぎゅっと収縮させてしまい、
血流が悪くなり、必要な酸素や栄養素などの血液を
充分に運ぶことができず、循環不全を起こしてしまいます
これは命にも関わる状態ですょね
妹ちゃんがクーリングを提案したのは体温が上がり始め、
震えなどの悪寒を自覚していた時期でした。
これでは患者さんはよくなるどころか
かえって具合が悪くなってしまいます
そのため、学校の先生や指導者さんに指摘されたんですね

 


















 










このように 
発熱時は
体温が上がりはじめる時期に
クーリングをおこなうと
循環不全を起こしてしまうリスクがありますΣ(゚д゚;)

症状に対する看護援助を
考える際は
「どのように」おこなうかだけでなく、
「いつ」行うかも考えることが大切です